地面に生える植物

里山の植物を知る


これまで、里山と人とは共存関係にありました。ところが今日、里山は人の暮らしとは分断された状態になりつつあります。その一方では、里山には貴重な動植物が数多く生息しています。とりわけそんな動植物の中には、絶滅の危機に瀕しているような貴重な動植物もいます。ここではそんな貴重な動植物の中でも里山の植物に限定をして、その種類や今抱えている問題などについてご紹介いたします。

里山は貴重な植物の宝庫

里山の落葉樹が人の生活を支えてきた

里山には、様々な貴重な植物が生息しておりまさに植物の宝庫といえるでしょうね。とりわけ、里山に生息している樹木の大半は落葉樹です。落葉樹は、寒い冬の季節になると古くなった葉を落とすことによって、常に若い葉だけを残しながら成長していくという樹木です。

そのため里山の近くに住む人々は、落葉樹の落ち葉を採取して田畑の肥料にしながら暮らしてきました。そういう意味では、里山の主役にも相当する樹木といえます。ちなみに日本の代表的な落葉樹はブナで、寒い地域でも生き生きと日々成長し続けることができます。

里山でよく見かける植物

里山には、様々な植物が生息しています。そんな里山でよく見かける植物を挙げてみると、まずは栗の木が挙げられます。しかも里山の生活では、食べ物が豊富にあるというワケではないので、栗は里山の人々にとっては貴重な食糧源ともなってきました。

その他、山桜も里山ではよく見かけますが、春を象徴する色鮮やかな樹木といえます。さらに、ケヤキやクヌギなども里山では定番の樹木となっています。とくにケヤキは25mくらいにまで大きく成長するので、中には天然記念物に指定されているものさえあります。

里山の希少植物を知り、絶滅の危機から守ろう

里山の管理放棄や大規模開発

里山に生えている樹木や植物は、原生林のような手つかずの自然とはある意味異なっています。また、薪や炭などに利用するため樹木が伐採されることはありますが、森林が消滅するほとの乱獲ではありません。また里山の樹木は落葉樹が多いので、落ち葉は肥料に利用することもできます。

おまけに定期的に伐採されるので、原生林のように薄暗い状態にはなっておらず常に明るく保たれています。そのため樹木にとっても、土からの栄養分が捕りやすくので成長も早いといいます。

ただし、近年里山の管理放棄や大規模開発などにより、里山に生息している希少植物が絶滅の危機に瀕しているといいます。

条例で希少植物を保護

環境省では、日本に生息している動植物などの中でも希少で絶滅に近い動植物の保存が進められています。とくに里山には、絶滅に瀕している希少な動植物が多数生息しています。例えば、里山に生息している希少植物には、コモチナナバケシダ・ナガバウスバシダ・ウラジロコムラサキ・ヤクシマリンドウなどが挙げられます。

ちなみにこれらの希少植物は、全国にある里山のごく一部に過ぎません。とりわけ、こうした希少植物は絶滅に近い状態なので、全国の各自治体でも条例などを設けながら希少植物の保護を進めています。

里山の代表的な木・ナラについて

ナラ枯れ

地球の温暖化現象が危惧されている今日ですが、それに伴って酸素を供給してくれる植物の環境保護に対しても意識が高まりつつあります。そして何よりも森林浴という癒し効果があるように、樹木や植物が多数集まった森林に入ると清々しい気分にさせてくれます。

その一方では、人の管理が行き届かなくなった里山では、里山を代表するといってもいいような樹木・ナラが、大量に枯れてしまったり伝染病にかかるという問題が発生しています。その原因の多くは、定期的に行われていた様々な防虫対策や防除対策が行われなくなったからという理由によります。

ナラ枯れを避けるには?

ナラ枯れは、これまで虫による害が原因であるとされてきました。ところが近年、ナラ枯れの直接的な原因は、菌類や病原菌による伝染病の一種であるということが分かってきました。ただし病原菌に関しては、カシノナガキクイムシが運んでくるからであるといわれています。

しかもカシノナガキクイムシは、高齢になった大きなナラを好んで寄生繁殖するために、大木を伐採して常に若いナラに更新していく必要があります。ただし、こうした里山の高齢樹木を定期的に伐採して、バイオエネルギーに利用していくには数々の課題や問題が残されているというのが現状です

その他の生態系についての記事はこちら → 里山の鳥や動物

まとめ

里山離れが顕著化している今日では、管理放棄された里山が問題視されています。そんな中、里山を保護しようとする機運も高まっていることは嬉しいことですね。