里山は、かっては周辺に暮らす人々には豊かな恵みを与えてくれました。ところが、時代の流れと共に薪や炭から化石燃料に変わってしまいました。それに加えて若者が都会の生活に憧れるようになり、いつしか里山が人の暮らしとはかけ離れたものとなってしまいました。そんな中、里山の未利用木材をバイオマス燃料にする構想が進められつつあります。
ここでは、そんな里山の貴重な資源についてご紹介いたします。
目次一覧
里山の資源はこんなにもすごい
農耕文化が里山を生む
日本における農業の歴史といえば、それこそ弥生時代にまでさかのぼります。この農業は同じ土地を毎年繰り返し使用するため、土地が次第に痩せてしまいます。そのため、それらの土地に肥料を与える必要性から、集落近くの山が里山として利用されるようになったといいます。
もう少し具体的にいえば、痩せた土地に肥料を与えるために集落近くの山から落ち葉などを集めて、人や家畜の糞尿と共に堆肥として田や畑に撒かれていました。また、囲炉裏や釜戸で樹木が燃料として利用され、燃えカスの木灰も肥料として田畑に撒かれたといいます。
大きな集落や都などに薪や炭が利用された
里山では、農業用の樹木のみならず薪や炭用の樹木も採取されました。また、大きな集落や都などにも里山の薪や炭が燃料として利用されたといいます。そのため、薪や炭を採取用にクヌギ・コナラ・ケヤキ・ブナなどが植林されました。
その他にも、山菜採りやキノコ採り・花見や紅葉狩りなどにも里山は利用されています。このように里山は、人が暮らしていくためには無くてはならない山です。おまけに、樹木の採取だけでなく植林など逐一人の手も加えられながら、人とのかかわり合いの中で成立するようになった山といえます。
里山のエネルギー、バイオマスを考える
バイオマスとは
バイオマスとは、動植物などから生まれた再生可能な有機資源のことをいいます。その代り、数億年前に死んだ動植物から採取される石油などの化石燃料はバイオマスとはいいません。おまけに、バイオマスを使った発電技術や里山の未利用木材をバイオマス燃料にするという構想が着々と進められています。
こうしたバイオマスをもう少し具体的な例で説明してみます。例えば、木材や紙・生ごみ・動物の死骸・糞尿・海草・プランクトンなどがバイオマスに該当するといえます。
しかも、化石燃料のように使いすぎると枯渇してしまうものではなくて、継続しながら常に再生可能な有機資源であるといえます。
バイオマスの種類
バイオマスの種類は多岐にわたりますが、大きく分けると廃棄物系のバイオマスと未利用のバイオマス・資源作物などに分類することができます。例えば廃棄物系のバイオマスには、毎日家庭で出てくる生ごみや家畜の排せつ物などが挙げられます。そして未利用のバイオマスは、稲わらや麦わら・間伐材・倒木などです。
また資源作物には、サトウキビやとうもろこし・菜種などの作物が挙げられます。おまけに、これらのバイオマスはバイオエネルギーとも呼ばれており、そのまま廃棄してしまうのではなくて有効な活用ができるようになってきています。
再生可能エネルギーの可能性
バイオマスを化石燃料に代替させる
バイオマスを化石燃料に代替させることによって、地球温暖化現象を抑止しようとする方法が今日では進められています。ちなみにバイオマスも燃焼させるとCO2が排出されてしまいます。ところが、バイオマスを燃焼させて発生するCO2は、植物が大気から吸収したものなので大気に戻るだけの話です。
ちなみに、化石燃料も古代の動植物が変化したものですが、数億年前の話なのでリサイクルのタイムラグがあまりにも大きすぎます。言い換えれば、数億年前のCO2を現代によみがえらせているようなものなので、バイオマスを燃焼させて発生するCO2とは異なります。
バイオマスは新時代のエネルギー資源
バイオマスエネルギーは、これまでの石油・石炭・天然ガスに次ぐ4番目のエネルギー資源です。いわば、これからの未来に向けた新時代エネルギー資源ということができます。しかも、バイオマス発電というのが今進められています。
とくに、日本では原子力発電による汚染が危惧されています。従って、このバイオマス発電が具体的に実現すれば、今後の未来への展望も明るくなるに違いありません。今まで捨てていたものを資源として活用したり発電に利用するとなると、まさに明るい循環型の未来社会が展開していくに違いありません。
まとめ
里山の未利用木材をバイオマス燃料にするという構想は実にいいですね。それにバイオマス発電も明るい未来が約束されているといえます。